物理化学者にして、〈暗黙知〉を提唱した思想家であるポランニー。ソビエト社会主義政権のもとで「科学の計画化」が進められていることを知った彼は、集中的権威による科学のコントロールに警鐘を鳴らし、学問の自由と自律の重要性を訴える。では、いかなる組織が真の自由を可能とするのか? 本書では、科学コミュニティと同じく社会全体も、個人の信念を保障しつつ異論を調停していくような、「自発的秩序」のシステムを備えた組織となる必要性を、様々なモデルを用いて説明していく。国家による科学・技術のコントロールに危機感が高まる今日、あらためて読まれるべき一冊。
目次
序 言
Ⅰ 科学の範例
1 純粋科学の社会的メッセージ
2 科学的確信
3 学問の自由の基礎
4 科学の自治
5 科学と福祉
6 計画化された科学
Ⅱ その他の範例
7 首尾不一致の危険
8 集中的指令の制御範囲
9 利潤と多中心性
10 社会的課題の管理可能性
著者プロフィール
マイケル・ポランニー (ポランニー マイケル) (著)
マイケル・ポランニー(Michael Polanyi):1891-1976年。ブダペスト生まれ。ブダペスト大学で医学博士号・化学博士号取得。1933年、ナチスの人種迫害を避けて英国に亡命。マンチェスター大学物理化学教授(のち社会科学に転ずる)、オックスフォード大学主任研究員等を歴任。次兄は経済人類学者カール・ポランニー。主著に『暗黙知の次元』『人間について』『創造的想像力』『個人的知識』等。
長尾 史郎 (ナガオ シロウ) (翻訳)
長尾 史郎(ながお・しろう):1941年、新潟県生まれ。明治大学名誉教授。専攻、経済学。