近代日本の思想史に映し出された中国像とはどのようなものだったのか。本書は、江戸時代の儒者や国学者らの中国観から、明治維新・日清戦争を経て、民族を超えた全体を目指す東亜協同体論が構想されるまで、代表的人物に寄り添いながら、中国理解の変遷や思考のありかたを追う。畏敬や脅威、軽侮という感情の振幅のなか、他国を正しく認識しようと苦闘した日本人の足跡。そこから、われわれは何を学べるだろうか。国家を超えた理念を呈示することはできるだろうか。日中関係史の精緻な考察は、いまもって喫緊の課題である〈他者理解〉に向けて読者の再考を促す。学殖溢れる渾身の思想史講義。
目次
第一章 「中華」帝国と「皇国」
第二章 「文明」の影で
第三章 日清戦争と西洋列強の中国進
第四章 中国革命への視線と対応
第五章 「東亜協同体」論をめぐって
終 章 結 び
参考文献
あとがき
文庫版あとがき
著者プロフィール
松本 三之介 (マツモト サンノスケ) (本文)
松本 三之介(まつもと・さんのすけ):1926年茨城県生まれ。東京大学法学部卒業。東京大学名誉教授。専門は日本政治思想史。著書に『国学政治思想の研究』『天皇制国家と政治思想』(ともに、未來社)、『近代日本の知的状況』(中央公論社)、『近世日本の思想像』(研文出版)、『明治思想における伝統と近代』『吉野作造』(ともに、東京大学出版会)、『明治精神の構造』(岩波現代文庫)、『「利己」と他者のはざまで──近代日本における社会進化思想』『増補 明治思想史』(ともに、以文社)など。
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