羨望と同時に嫉妬をもかきたてる〈ていねいな暮らし〉は、現代日本特有の文化なのだろうか。
花森安治の足跡から中華圏における流行まで、連綿と続く〈暮らし〉へのあこがれの社会史を追う。
***
〔…〕本書を準備している中で、この三つの椅子の偶然に出会ったとき、あらためて『暮しの手帖』巻頭に毎号掲げられている「これは あなたの手帖です」というメッセージを思い出さないわけにはいかなかった。
すぐには役に立たないように見えても
やがて こころの底ふかく沈んで
いつか あなたの暮し方を変えてしまう
という花森の言葉が、期せずして筆者自身の〈暮らし〉の中で予言として成就していたことになる。ほらね、と言わんばかりの花森の得意気な表情が脳裏に浮かぶ。
数十年前に記事を読んだ記憶も、椅子の名もメーカー名も産地も、新しく椅子を購入するときの筆者の念頭にはなかった。にもかかわらず、それを選んだ。つまり『暮しの手帖』が筆者の「こころの底ふかく沈」めていたものは、モノとしてのその椅子ではなく、そのモノの魅力について熱く語る花森の「モノ・ガタリ」だったと言える。形あるモノは滅びるが「こころの底」にしみこんだ「モノ・ガタリ」が消えることはない。
(筆者「あとがき」より)
目次
〈おもな目次〉
第一章 〈ていねいな暮らし〉問題――花森安治のうしろ姿
第二章 『暮しの手帖』――彼のつくりだしたもの
第三章 花森安治の時代――そのとき、何を着ていたか
第四章 丘の上の赤い屋根――彼はどこにいたのか
第五章 神戸を歩く――彼はどこから来たのか
終 章 〈暮らし〉は、どこから来て、どこへ行くのか
その他のアイテム
-
- 『簡単 時短 ワンパン 腸活でからだが楽になる! 元気になる! わたしのお守りレシピ』ありこ(著) 発行:KADOKAWA
- ¥1,683
-
- 『 多文化間カウンセリング・ハンドブック 異なる文化的背景をもつクライアントの支援のために』湯浅 紋(著) 発行:明石書店
- ¥3,300
-
- 『小泉八雲と水木しげるに学ぶ 異界の歩き方』小泉凡(監修)水木しげる(絵) 発行:マイクロマガジン社
- ¥1,760
-
- 『経済の文明史』カール・ポランニー(著)玉野井 芳郎(訳)平野 健一郎(訳) 発行:筑摩書房
- ¥1,650
-
- 『ポジショナリティと〈日沖関係〉 沖縄と日本の権力構造、集団的利害と責任の様態を問い直す』池田 緑(著) 発行:明石書店
- ¥3,740
-
- 『女性の100の不調を整える薬膳と漢方』谷口 ももよ(著)佐藤 弘(監修) 発行:エクスナレッジ
- ¥1,980