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『廃墟のヨーロッパ』国末 憲人(著) 発行:草思社

2,860円

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ヨーロッパ中に散らばる「廃墟」は、私たちに何を問いかけているのか? さまざまな難問に直面するヨーロッパ各地を丹念に取材し、 〈崩壊の現場〉からこの世界の現在と未来を考察するルポルタージュ。 《破滅の後には再生がある。湿潤な気候の日本では木造家屋が朽ち果てて自然に戻り、 その上に新たな社会が上書きされるのに対し、広大で乾いた欧州の大地では、 石造りの建物が廃虚となって存在感を示し続ける。 その痕跡を日々目にし、そこから教訓を学びつつ、人々はその隣に新たな社会を建設する。 欧州の廃虚をめぐる本書は、したがって破壊の過程をたどるとともに、そこに潜む再生への道筋を探る旅ともなるだろう。》 (本書「はじめに」より) <内容より> ▼チェルノブイリ原発事故で無人となった街 ▼戦前大いに栄え、戦後は朽ち果てたピレネー山中の乗換駅 ▼頓挫した南イタリアの産業振興策の残骸 ▼EU離脱を多くの住民が支持した英国のラストベルト ▼内戦や虐殺の歴史を経て分断が定着した街 ▼極端な人口減少によって衰退へむかう国家 ▼ホロコーストの記憶を発信しつづけている収容所跡地 …… 目次 はじめに  第1章 よみがえるソ連――プリピャチ  ■「ウクライナでもっとも快適な道路になりました」  ■再現されたソ連の生活風景  ■想像力を呼び戻す仕掛け  ■「一時的に、三日間だけ避難せよ」 ■帰還者の行方 第2章 足元に潜む核戦争――ロンドン  ■米ソの「ホットライン」も経由 ■核シェルターは政府関係者専用  ■戦略の要として復権しつつある核兵器  第3章 分断された世界――ボスニア・ヘルツェゴビナ  ■「互いに撃ち合った過去」の呪縛  ■「首都で私はトイレに行かない」  ■利権を差配する「お山の大将」  ■狭い行政区に大臣が十五人  ■聖火台のマクドナルド  ■「EUのレベルに達するには百年かかる」  第4章 名君だった「暴君ネロ」――ローマ、ポンペイ  ■ポピュリスト政治家としての皇帝ネロ  ■ポンペイ落書きが語る意外な人物像  ■フェイクニュースが歴史になるとき  ■タイムカプセルとしてのポンペイ遺跡  ■歴史は発見とナラティブのせめぎ合いでつくられる 第5章 人影が消えた浜辺――キプロス  ■閉ざされた「地中海の宝石」  ■「住民の間には、もはや何の対立もありません」  ■三種類の旅券を保有する住民たち  ■キプロス問題を左右するエルドアンの思惑  ■三つのシナリオ ■トルコによる北キプロス併合という悪夢  第6章 峠を越えた金塊――ピレネー山脈・カンフラン国際駅  ■ナチスの金塊が運び込まれた国境の駅  ■線路上に散らばっていた古い書類  ■中立国スペインの複雑な立場  ■金塊の用途と行き先  ■古びた窓枠から歴史を振り返る  第7章 地中海の中心で、地図を描く――南イタリア・カラブリア  ■頓挫した開発とマフィア、発がん性物質  ■人口二百万人の州に四百万人分の住宅  ■辺境が地中海の中心になる日 第8章 アウシュヴィッツの東を見よ――ソビブル、トレブリンカ、ベウジェツ  ■ソ連によって整えられた虐殺の条件  ■ホロコーストを物質的な面から分析する  ■なぜアウシュヴィッツが象徴となったのか ■ソビブルの名札  ■有刺鉄線を越えて  ■立ち尽くす一万七千の石  ■「青い壁」の秘密  ■演出はどこまで必要か  ■政治によって封印された記憶  ■絶滅収容所映画が意図するもの  第9章 虹の彼方に消えた「移民」――ウェスト・ヨークシャー  ■半世紀にわたる衰退の歴史  ■なぜアジア系住民はEU離脱に賛同したのか  ■スケープゴートにされた「ポーランド移民」  ■「レフト・ビハインド」の虚実  ■「ブレグジット」から「ブレグレット」へ  第10章 かつてこの国に王がいた――ソフィア  ■国王から亡命者、そして首相に  ■廃屋がブルガリアの共通の風景  ■若者が夏休みにだけ帰ってくる国  ■新興大国の草刈り場  ■ガラパゴス化するEUの政治モデル  ■ポピュリストが語る「心温まる社会」  ■「世界の終わり」と「月末までの生活」  ■EUの存在意義はどこにあるのか  第11章 ボタ山が育んだ政治勢力――ノール・パドカレー炭田  ■平屋の美術館「ルーブル分館」  ■多様な人々によって育まれた豊かさ  ■マリーヌ・ルペンの拠点となったボタ山の街  ■「欲しいのは、援助やカネじゃない」  ■利用される「不平等感」と「承認欲求」  ■「トランプなんて、まだましだった」  第12章 ナンバープレートの上の「国家」――コソボ・ミトロヴィツァ  ■国境でのばかげた「義務」  ■政府によって煽られる住民対立  ■コソボ政府の行政能力にも不信感  ■「プーチンは嘘つきの常習犯です」  ■セルビアとコソボに共通する自己認識  第13章 共産主義の亡霊が徘徊する――ブダペスト  ■「恐怖の館」の政治性  ■目指すのは「非リベラルな社会」  ■「外国をコピーするだけではだめだ」  ■イデオロギーからアイデンティティーへ ■「オルバンの手法はスズキの工場と同じ」  ■「三十年前とあまり変わっていない」  ■富裕層と貧困層の結託  ■「総統民主主義」が審判を受ける日  第14章 壁なき大平原の幻想――ベルリン  ■消滅したはずの「壁」が再び立ちふさがる  ■「欧州の病人」から「一人勝ち」へ  ■「接近による変化」の理想と現実  ■メルケル政権の「功」と「罪」  ■「相互依存は安定には結びつかなかった」  破壊と再生――結びにかえて  著者プロフィール 国末 憲人 (クニスエ ノリト) (著) 国末憲人(くにすえ・のりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授、ウクライナ国立工科大学客員教授。1963年岡山県生まれ。1985年大阪大学卒。1987年に紀行「アフリカの街角から」でノンフィクション朝日ジャーナル大賞優秀賞を受賞。同年、パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞に入社。パリ支局長、GLOBE編集長、ヨーロッパ総局長を務めた。2024年より現職。著書として『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』 (以上、新潮社)『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)『ポピュリズムと欧州動乱』(講談社)『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』岩波書店『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』『テロリストの誕生』(以上、草思社)などがある。

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