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『 無知学への招待 〈知らないこと〉を問い直す』鶴田想人(編著)塚原東吾(編著) 発行:明石書店

2,970円

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私たちは何を知らないのか。なぜ知らないのか。私たちの〈知らないこと〉はいかに作られ、社会に何をもたらしているのか。近年盛り上がりつつある無知学(アグノトロジー)の本邦初の入門的ハンドブック。 目次 はじめに――「無知の時代」を生き抜くために[鶴田想人]  無知の時代?  欧米における無知学の流れ  日本における無知学の歩み  無知研究の諸潮流と本書の範囲  本書の構成 第Ⅰ部 概論 1 無知学とは何か――その背景と課題[鶴田想人]  1 無知学とは何か  2 学術的文脈  3 いかなる「無知」を扱うか  4 おわりに――学際化にむけて 2 無知学の過去・現在・未来[ロバート・N・プロクター(鶴田想人・塚原東吾訳)]  1 若い頃からの関心の展開  2 無知学への歩み  3 近年の無知研究について  4 執筆中の著作  5 無知学の今後の展望 3 科学史・STSにおける無知[塚原東吾]  1 科学革命とガリレオ科学  2 非西欧世界での科学技術  3 グローバルヒストリーやポピュラー科学史が生み出す無知  4 STSと無知学――主にブライアン・ウィンの再考と科学コミュニケーションの問題  5 〈科学批判学〉の要としての無知学・アグノトロジー 第Ⅱ部 キーワード  1 特定された無知[村瀬泰菜]  2 意図的な無知/非意図的な無知[鶴田想人]  3 有徳な無知[岡本隣]  4 戦略的無知と非知社会学[井口暁]  5 白人の無知と無知の認識論[大橋一平]  6 認識的不正義[飯塚理恵] 第Ⅲ部 日本の「無知学」 1 科学の国際性と研究の無害化――1950年代の放射線影響に関する知/無知の形成[飯田香穂里]  1 はじめに――科学の国際性  2 米国の科学戦略  3 放射線と「客観性の呪い」  4 オオイヌノフグリ変異花の「無害化」  5 無害化――科学的振る舞いの結果としての無知生産 2 動機としての無知――公害の場合[友澤悠季]  1 はじめに――公害をめぐる知と無知の緊張関係  2 知ることを求めてきた公害被害者――足尾銅山鉱煙毒事件から  3 積極的な無知生産――二つの水俣病事件から  4 新たな知へ向かう意志、無知へ引き戻す力  5 おわりに――動き出す無知へ 3 「田んぼ」の真ん中に建てられた基地――沖縄における無知の政治[西山秀史(前田暉一朗・岡井ひかる訳)]  1 序論  2 無知の生産を通して空白の空間を記述する  3 今日における過去の空間的消去――普天間基地をめぐる米国の公式言説  4 沖縄における無知と脱植民地化への闘争 4 「日本人」特権に起因する無知――日本人性に関する社会科学と無知の認識論の学際研究[佐藤邦政]  1 はじめに  2 日本人性とマジョリティ性の交差としての「日本人」特権  3 無知の本性と分類  4 日本人特権に起因する無知  5 結語 第Ⅳ部 「無知」の諸相  1 無知の権利[村上陽一郎]  2 古代ギリシア哲学の「不知/無知」[納富信留]  3 福島原発事故と放射線健康被害の不可視化の構造[柿原泰]  4 ホロコーストと同性愛者[弓削尚子]  5 カントの「黒」――合理的作為としての無知が顕わにする〈知〉としての「人種」[小笠原博毅]  6 民主主義と無知[大竹弘二]  7 COVID-19パンデミックと無知[美馬達哉]  8 AIの作り出す無知[直江清隆]  9 ジャン=ピエール・デュピュイの破局と無知[渡名喜庸哲]  10 経済学における「自然」の不可視化[桑田学]  11 ポストトゥルースと「科学否定論」[松村一志]  12 人間の条件としての無知――ミラン・クンデラと考える[須藤輝彦]  13 人新世の結果から要因、対策へ――環境問題における無知の構造[野坂しおり]  14 フランスにおける無知研究の展開[井上雅俊] おわりに[塚原東吾]  無知学・アグノトロジーという言葉についての交通整理  本書のおさらい  今後の課題群――文化と価値の問題  索引 前書きなど はじめに  (…前略…) 本書の構成  本書は、本邦初の無知学の入門書であることを意識して、以下の四部で構成した。  第Ⅰ部には無知学の概要とその学問的文脈を提示する三つの章を収める。まず鶴田が、無知学とは何か、何を探究するものなのかを整理した。次に、プロクターへのインタビューに基づく第2章では、彼が無知学を構想するに至った経緯や動機を語ってもらった。最後に塚原が、より広い視野から科学史・STSの領域における無知学的なテーマを論じた。  第Ⅱ部では無知学のキーワードを解説する。「特定された無知」、「意図的な無知/非意図的な無知」、「有徳な無知」といった無知学の基本概念に加え、無知の認識論の重要概念である「白人の無知」と、非知社会学における「戦略的無知」を、それぞれの分野の簡単な流れとともに紹介した。また、必ずしも無知学の概念ではない「認識的不正義」も、無知の形成のメカニズムを理解する上で欠かせないものとして取り上げた。  第Ⅲ部には日本のオリジナルな事例研究を収録する。原爆、公害、沖縄、日本といった重要なトピックについて、無知学的な分析をどのように用いることができるのかが示される。  第Ⅳ部にはさまざまな分野における「無知」について、必ずしも無知学の枠組みにはとどまらない視点から論じた短い論考を収めた。科学史・科学哲学はもちろんのこと、哲学、STS、歴史学、カルチュラル・スタディーズ、政治学、医学史、技術哲学、現代思想、経済思想、科学社会学、文学、環境思想、科学技術史といったさまざまな分野での「無知」が論じられ、無知研究の豊穣な可能性の一端を示している。  このように、本書は欧米の無知学をある程度体系的に紹介するとともに、その日本への応用事例と、それにとどまらない無知という概念の広がりを示すことで、読者を無知学へと誘いざなうことを目的としている。無知学が読者の幅広い関心と結びつき、思わぬところから芽を出し、花を咲かせることを願っている。本書がその一助になれば幸いである。 著者プロフィール 鶴田 想人 (ツルタ ソウト) (編著) 1989年東京生まれ。大阪大学社会技術共創研究センター特任研究員。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。修士(学術)。専門は科学史・科学論。論文に「無知学(アグノトロジー)の現在」(『現代思想』2023年6月号)など。編著に『ジェンダード・イノベーションの可能性』(共編、明石書店、2024年)、翻訳にプロクター「無知学」(『思想』2023年9月号)、シービンガー『奴隷たちの秘密の薬』(共訳、工作舎、2024年)など。 塚原 東吾 (ツカハラ トウゴ) (編著) 1961年東京生まれ。東京学芸大学教育学部化学科修士課程修了、ライデン大学医学部にて博士号を取得。イギリス・ケンブリッジ大学ニーダム研究所にてポスドクフェロー、東海大学文学部助教授を経て、現在、神戸大学大学院教授。主要な著作・編著にAffinity and Shinwa Ryoku(Gieben,1993)、『科学技術をめぐる抗争』(共編、岩波書店、2016年)、『帝国日本の科学思想史』(共編、勁草書房、2018年)など。

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