{{detailCtrl.mainImageIndex + 1}}/1

非核三原則 「唯一の被爆国」が抱える矛盾/梅原 季哉(著) 発行:岩波書店

1,056円

送料についてはこちら

一九七一年に国会決議された非核三原則。核兵器を「持たない、作らない、持ち込ませない」と宣言する国是は、米国との関係のもと、繰り返し形骸化が指摘された。また国際的な核兵器使用禁止の動きにも、日本は一貫して消極的である。この宣言の成立や、扱いをめぐる政治の流れをひもとき、日本の核への意識・政策を問い直す。 目次 はじめに――非核三原則が意味するもの   唐突な見直し気運   根強い支持と国際的評価   曖昧な出自   非核三原則と日本における核意識 第1章 原爆と占領――不可視化された核兵器の使用  1 原爆投下直後の反応   一様ではなかった出発点   残虐性の非難と「大シタコトナシ」の並存  2 「戦争を終わらせた兵器」とされた原爆   終戦の詔勅を岐路とした転換   「科学力に負けた」象徴に  3 検閲体制下での原爆批判の消失   プレスコードによる処分第一号   量的にも質的にも阻害された核兵器使用に関する語り   許容された言説のパターン=永井隆  4 「日本に原爆を持たせない」政策の徹底   原爆開発関連設備の押収と破壊   米国の抑止力依存という構造の始まり  5 朝鮮戦争下の核使用リスクと日本   トルーマンによる「原爆使用示唆」への反応   封じられた公的空間での批判  コラム1 丸山眞男と被爆体験 第2章 「被爆国」の誕生から定着へ――政治化した反核感情と不可視化での対応  1 ビキニ水爆実験の衝撃   再発見された広島・長崎   広範な運動による政府への圧力   「戦争をなくせ」を志向した左派  2 国民の不安解消へと築いた「持ち込ませず」政策   米国の「使える核」志向   日本への配備も焦点に   原水爆禁止の「趣旨に賛成」とした鳩山新首相   米軍の核貯蔵拒否を表明  3 岸政権による非核政策の調整   岸首相が示した核兵器合憲論   安保改定時の核密約と「使用」   説明回避で臨んだ「安保国会」  4 国際社会における「非核」ルール化への対応   最初で最後の「核兵器使用禁止」決議賛成   キューバ危機と日本への影響   池田政権と非核諸規範   初の中国核実験と日本の反応  コラム2 原子力の平和利用への期待と思惑 第3章 非核三原則の成立――被爆国アイデンティティの確立  1 沖縄返還という政治課題   当初から結びついていた「沖縄」と「非核」   障壁となったベトナム戦争   核兵器の存在をどうするか  2 「核抜き・本土並み」要求と「非核三原則」という用語   「ベトナム」をめぐる分断   「本土並み」の要件としての「非核三原則」  3 制度化への抵抗と妥協   「核時代をどう生きるか」を語った施政方針演説   「核政策の四本柱」  4 密約による調整   行き違いゆえの後悔   「核」をめぐり行き詰まった外交交渉   「使える核」も志向したニクソン─キッシンジャー  5 「平和大国」像から取り除かれたもの   国会決議で「国是」に   NPT署名と核不拡散規範の受容   「不使用」に踏み込まない構造の定着  コラム3 佐藤栄作は核武装論者だったのか 第4章 核の脅威から冷戦終結へ――非核を「遵守」する日本の内実  1 NPT批准――「持たない」、「作らない」の制度化   デタント下で埋まった外堀   核による日本防衛を保証   浮き彫りになった「非核」の要件   内政上の取引材料となった核使用問題  2 空洞化が露呈した「持ち込ませず」   米海軍元幹部による暴露   日本政府内での運用見直しの検討   駐日大使発言による疑惑の再燃  3 グローバルな反核運動のうねりと日本――一九八〇年代前半の変化   「ノーモア・ヒバクシャ」の叫びと国会決議の落差   不使用は精神的共鳴のみ   非核国家・自治体の取り組みと日本の反応   地方自治体主導の規制を骨抜きに  4 米ソのグローバル核軍縮交渉と「非核」日本   ソ連の中距離核ミサイル配備で問われた「西側の一体性」   「ゼロ・オプション」を推した中曽根の思惑   ゴルバチョフの登場   加速する米ロ核軍縮と日本政府の反応  コラム4 米国に反対された幻の原発攻撃禁止条約 第5章 問われる非核三原則――「見捨てられ不安」を超えて  1 冷戦終結がもたらした変化と継続   「持ち込ませず」という問いの消失   グローバルな不拡散と強化された日本の「持たない」   「唯一の被爆国」日本の核廃絶決議   国際司法で問われた「核のタブー」と日本   「国際法違反」と断言しない日本政府  2 「テロとの戦い」を経て「核なき世界」構想下の相剋   対テロ戦下での核廃絶をめぐる米国との距離   オバマの「核なき世界」構想への期待   民主党政権下の密約調査   核兵器の「役割低減」に抵抗した安倍政権   オバマの広島訪問で問われなかったもの  3 「核兵器復権の時代」に動揺する日本   ウクライナ戦争という転換点   被爆地・被爆者との距離感   米・イスラエルの対イラン攻撃と「核のタブー」の危機   NPT体制の動揺と日本のジレンマ  コラム5 核実験への忌避感と日本 おわりに――「被爆国」アイデンティティをとらえ直す   不可視化の果ての邪魔者扱いでよいのか   規範逸脱へ踏み出すリスク   今こそアップデートを   あとがき   主要参考文献及び主な引用資料源 著者プロフィール 梅原 季哉 (ウメハラ トシヤ) (著) 梅原季哉(うめはら・としや) 1964年生まれ. 広島市立大学広島平和研究所教授. 1988年,朝日新聞社に入社.長崎支局を初任地として,国際報道畑を歩みヨーロッパ総局長などを歴任した後,論説委員だった2021年に退社.キングス・カレッジ・ロンドン戦争学研究科修士課程修了(現代戦争論).広島市立大学大学院平和学研究科博士後期課程修了(平和学).研究領域は,国際関係論,安全保障と軍縮・非核規範,戦争・平和のメディア論. 著書に『核の戦後日本政治史』(ミネルヴァ書房),訳書にトム・フォン・リ『日本 老いと成熟の平和』(みすず書房)など

セール中のアイテム