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『私にぴったりの世界』ナタリー・スコヴロネク(著)宮林寛(訳) 発行:みすず書房

3,960円

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家族史を語れば必ず服の話になる。いっぽうで悲しみから立ち直れない祖母の店にショアーの亡霊がとりつき、いっぽうで時代に即応して命を燃やすように生きた一家は思わぬ成功にとまどっている。両方を行き来しながら育った女性は、やがて自分にぴったりの世界を探し求める。 鋭くも優しい眼差しを自らの家系に向けながら、一つの世界の終わりをみごとに描くこの自伝的小説は、家族のサーガにしてヨーロッパ現代史となり、高い評価を受けた。 「曾祖母が身を粉にして働いた青空市から、両親が起業し、国内に展開した系列店にいたるまで、どこを見ても思い知らされる。うちの祖先はポーランドのシュテットルに暮らすユダヤ人の仕立屋だったのだ。 移住から数えて四世代目となる頃、既製服の仕入先はパリのサンティエ地区から姿の見えない流通業者に代わった。商品はバングラデシュ、パキスタン、あるいは中国で買い付けられてくる。それがどこから来たのか、誰が、どのように作ったのか。そんなことを気にする必要はない。山と積まれた服のうち、客が気に入ってくれそうな品を見分けることが肝心だった。迅速な判断と、正しい選択が欠かせない。ヨーロッパ全域に広まった新時代の小売店に脅かされ、もはや一刻の猶予もなかった。イディッシュ語でシュマテスと呼ばれる仕事は、ついにその命運が尽きようとしていたのである。」 (ナタリー・スコヴロネク ) 著者プロフィール ナタリー・スコヴロネク (ナタリースコヴロネク) (著) (Nathalie Skowronek) 1973年生まれ。ベルギーの小説家。移住ユダヤ人の第四世代に当たる。ブリュッセル自由大学を卒業し、出版社と家族経営の服飾店で働いた後、37歳で作家デビューした。本書以外の著作に、Karen et moi (2011), Max, en apparence (2013), La Shoah de Monsieur Durand (2015), Paradis blanc (2017), 欧州連合文学賞受賞作のLa Carte des regrets (2020) などがある。 宮林寛 (ミヤバヤシカン) (訳) (みやばやし・かん) 1957年生まれ。慶應義塾大学文学部教授。専門は19世紀フランス詩とベルギー仏語文学。主な訳書に、ソレルス『例外の理論』(せりか書房、1991)、ドゥルーズ『記号と事件 1972-1990年の対話』(河出文庫、2007)、ゲヴェルス『フランドルの四季暦』(河出書房新社、2015)、シャルル・ペギー『クリオ 歴史と異教的魂の対話』(河出書房新社、2019)がある。

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