10月末刊行予定から1月末刊行予定となりました。また変更がありましたらお知らせいたします(2025年11月16日時点情報)。
世を捨てよ、クマを狩ろう──。
落合陽一がデジタルネイチャー化した世界における人間の実存という難題に挑み、そして七年の知的格闘の末に得た一つの「解」──それが〈マタギドライヴ〉である。本書はかつて「人間」と呼ばれた形式に固執してみせることも、目を閉じて機械の一部になることも選べない者たちへの祝福の書だ。抵抗でも加速でもない超越と深化のビジョンがここにある。
目次
序章 「死の終焉」という言葉をAIに告げられたときにいよいよ書き終える時期なのだと思った。
第1章 デジタルネイチャーからマタギドライヴへ
「魔法の世紀」に汎化してゆく「デジタルネイチャー」
エンド・トゥ・エンドなデジタル自然の実装に向けて
ポストデジタルネイチャーの文化的探求
デジタルネイチャーに復権する狩猟性「マタギドライヴ」
「テクノ民藝」としてのアートクリエイションの可能性をさぐる
【解説】狩猟採集から農耕・工業社会への急速な変化と進化的ミスマッチ
第2章 デジタルネイチャー下における人間、言語、そして身体
デジタルネイチャーにおける「人間」という存在様式の拡張
人類社会の発展史から「人間」の在り方を再考する
社会と「言語」の関係の変化
Society 5.0における言語の役割の再編
「原理のゲーム」としてのアートの役割とは何か
マタギドライヴはそれぞれの「現実」を生きる
【コラム】ソサエティ5.0におけるエンド・トゥ・エンドの哲学的含意
第3章 デジタルネイチャーとはいかなる意味で「自然」なのか
「質量のある自然」のインパクトが、「質量のない自然」の変化を加速させる
デジタルと物理の世界が相互に連携する、「デジタル自然」の実現のために
GPT-4に大乗仏教の「オブジェクト指向」を解読させる
西洋と東洋の風土の違いがもたらす2つの「デジタル自然」像
「n層の自然」の環世界経験としてのデジタルネイチャー
「空(null)」と「自然」の問題をオブジェクト指向で解く
古代と現代、自然とデジタル、宗教とテクノロジー、一見対照的な領域(seemingly contrasting domains)を表現する『オブジェクト指向菩薩』
【解説】ワールドモデルの歴史的展開とその意義──哲学・システム理論・人工知能・社会科学の視点から
第4章 計算機自然を成立させる「原理」──チューリングマシンから微分可能ヒューマンコンピュータインタラクションへ
オントロジーは微分できるか?
フィジカルとデジタルの「自然」を統合するニュートンの微分法とチューリングマシン
「チューリングマシンとしての人間モデル」への認識がAGI(一般人工知能)への扉をひらく
微分可能HCI: 人間とコンピュータの新たな関係性の探求
微分可能HCIの具体的展開
微分可能な自然において人はどう生きるか
デジタルネイチャーとネオ-仏教哲学:オブジェクト指向菩薩から
20世紀「我々はどこから来てどこに向かうのか」→21世紀「そうだ微分しよう」
【解説】微分可能プログラミングの展開とHCI
第5章 デジタル発酵とテクノ民藝
文明のパワーバランスの転換と三極化するグローバル経済
デジタルネイチャー下でローカリティを開花させる「デジタル発酵」
ポスト・メーカームーブメントとしての「テクノ民藝」
【コラム】秋田のマタギ集落を訪れて
第6章 現代社会に現れはじめたマタギたち ──デジタル狩猟文明がもたらす経済環境とライフスタイル
デジタル環境に再生するマタギ的なるもの
柳田におけるサンカ・マタギ
デジタル発酵の進展
マタギドライヴの出現
マタギドライヴたちが持続的に生きられる環境条件とはなにか──「AI+BI」 型と 「AI+VC」型の社会モデル
r>gの世界に現代マタギはいかに介入するか
限界費用が下がらないグローバルサウス
格差解消の唯一解としての確率論
多元化する「文脈のゲーム」とマタギドライヴ世界における価値生成
無名の民藝、有名のマタギ
利他的な意識をいかにして動機づけるか
マタギとして価値を生み出すことの本質は何か
【コラム】価値発見工学としてのマタギドライヴ:未知の価値への探求
終章 マタギドライヴたちが招く未来
微分可能オントロジーによる脱構造主義と辺縁性
あらゆるオントロジカルな体系に計算機が介入する
脱人間中心から計算機自然へ
40年越しに蘇る「ステーショナリー・ノマド」の精神性
ステーショナリー・ノマドからマタギドライヴへ
マタギドライヴは「自然社会」を招来するか
マタギ的なコスモロジーの根本にあるもの
マタギドライヴは「人のネットワーク」の外側から駆動してゆく
現代にマタギ的なコンヴィヴィアリティをいかにして取り戻すか
マタギドライヴは確率論的な未来と戯れる
結語(マタギドライヴ――計算機自然の辺縁における狩猟採集と脱人間知性的文明論)
【解説】オートエスノグラフィと脱人間中心HCI
あとがき
附録:デジタルネイチャーからマタギドライヴへ移行する方針と時系列的展望
著者プロフィール
落合陽一 (オチアイヨウイチ) (著)
メディアアーティスト。1987年生まれ、2010年ごろより作家活動を始める。境界領域における物化や変換、質量への憧憬をモチーフに作品を展開。筑波大学准教授、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業プロデューサー。
写真集「質量への憧憬(amana・2019)」NFT作品「Re-Digitalization of Waves(foundation・2021)」など。2016年PrixArsElectronica栄 誉賞 、EUよりSTARTSPrize受賞、2019SXSWCreativeExperienceARROWAwards受賞。Apollo Magazine 40 UNDER 40 ART andTECH、 Asia Digital Art Award優秀賞、文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品多数。
主な個展として「Image and Matter」マレーシア, 2016、「未知への追憶」渋谷マルイMODI, 2020、「物化-Transformation of Material Things-」香港アーツセンター, 2021、「日下部民藝館特別展」岐阜, 2021-2024、「晴れときどきライカ」ライカギャラリー東京/京都, 2023、「ヌルの共鳴:計算機自然における空性の相互接続」山梨・清春芸術村 安藤忠雄/光の美術館, 2023、「昼夜の相代も神仏:鮨ヌル∴鰻ドラゴン」東京・Brillia Art Gallery, 2024など。
常設展として「計算機と自然、計算機の自然」日本科学未来館, 2019。その他の展示としてSIGGRAPH Art Gallery, 「Ars Electronica Festival」2015-2021、「 AI More Than Human」UA・バービカンセンター, 2019,「おさなごころを、きみに」東京都現代美術館, 2020、「北九州未来創造芸術祭 ART for SDGs」 北九州市立いのちのたび博物館, 2021、「Study:大阪関西国際芸術祭」2022-2023など多数出展。「New JapanIslands 2019-2023」エグゼクティブディレクターや「日中韓芸術祭2021 in Kitakyushu」、「落合陽一×日本フィルプロジェクト2018-2025」の演出を務めるなど、さまざまな分野とのコラボレーションも手掛ける。
四六判
価格 3,200 円+税 3,520 円(税込)
ISBN978-4-911149-04-1
発売予定日2025年10月31日
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