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『災後テレビドラマ論 震災後・コロナ禍後をどう描いてきたのか』米倉 律(著) 発行:青弓社

2,860円

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21世紀に入って間もなく、東日本大震災と新型コロナウイルス感染症拡大(コロナ禍)という甚大な災禍に私たちは見舞われた。しかし、時代を画するほどの重要な転換点であるこれらの出来事のなかで人々が何を経験し、その後に何が変わり/変わらなかったかについて、私たちはいまだ十分に理解できていないのではないか。 こうした問題意識のもと本書では、大衆的な娯楽でありながらも社会問題を取り上げるジャーナリズム的な側面をもち、当事者たちの経験や心情を具体的に伝達する力に長けたテレビドラマに注目し、震災やコロナ禍の表象を分析する。 故郷や家族の喪失、当事者/非当事者の分断、非常時の生活での孤独、他者との共感と結び付き……。『おかえりモネ』から『#リモラブ』『団地のふたり』『孤独のグルメ』『新宿野戦病院』まで、様々な「災後テレビドラマ」を取り上げて、日本全国を混乱に陥れた災禍にテレビドラマがどう向き合い、それによって私たちに何を伝えようとしたのかを明らかにする。 放送各局で制作された多彩な「震災ドラマ」と「コロナ禍ドラマ」を取り上げながら、「災後」である日本社会のありようを考究する。 目次 序 章 災後テレビドラマを読み解くこと  1 二つの「災禍」をめぐる問い  2 災後テレビドラマとは  3 ジャーナリズムとしてのテレビドラマ  4 当事者の「経験」を伝えるジャーナリズム  5 ドラマが伝える「真実」  6 当事者/非当事者の「心」を伝えた『おかえりモネ』  7 災後テレビドラマが伝える社会の「無意識」 第1部 震災ドラマ 第1章 物語(フィクション)の力――『ペペロンチーノ』『あなたのそばで明日が笑う』  1 亡き人とともに歩んできた十年  2 幽霊に見守られながら  3 津波による「大量死」  4 死者との邂逅と「物語」の力  5 「あいまいな喪失」  6 「物語」の役割  7 “寄り添う”ドラマ 第2章 「故郷」と結び直す――『小さな神たちの祭り』『絆――走れ奇跡の子馬』  1 家族を失った喪失感と罪悪感  2 亡き人たちの「幽霊」との交流  3 「故郷」との結び直しと「心の復興」  4 「故郷」とは何か  5 死者と「故郷」  6 危機に立たされた「故郷」の伝統文化  7 「馬が走るところを見たい」  8 「故郷」と「生きがい」の回復 コラム1 “震災ロードムービー”が映し出すもの――『風の電話』 第3章 「分断」を前にして――『時は立ちどまらない』『ラジオ』  1 作家や脚本家たちが陥った「失語」状態  2 二つの家族のあいだの「分断」  3 負債感(申し訳なさ)と非対称性  4 「翻訳不可能さ」を超えて  5 被災地のFMラジオ局  6 被災地と非被災地のあいだの溝  7 人々をつなげるラジオの力  8 被災地のコミュニティーとメディア コラム2 「再現ドラマ」が描いた震災とメディア 第4章 東京のなかの「震災」――『サイレント・プア』『五年目のひとり』  1 「被災地」から「避難先」へ  2 「顔」が見えにくい避難生活者  3 避難生活者の孤立支援  4 孤独な避難生活者と少女の交流  5 “異人”としての避難生活者  6 関心の低下、記憶の風化  7 日本社会の陰画としての「震災ドラマ」 第5章 ドラマが描く/描かない「フクシマ」――『浜の朝日の噓つきどもと』『LIVE! LOVE! SING! 生きて愛して歌うこと』  1 カタカナ表記の「フクシマ」をめぐって  2 断片化、脱文脈化される「フクシマ」  3 象徴的な場としての映画館「朝日座」  4 明るさと脱力感  5 高校生たちの沈黙  6 「復興不能」への怒り  7 感傷に流されていく物語――「フクシマ」はタブーなのか コラム3 新海誠と「フクシマ」 第2部 コロナ禍ドラマ 第6章 可視化される現代人の「孤独」――『2020年 五月の恋』『#リモラブ――普通の恋は邪道』  1 「リモートドラマ」「テレワークドラマ」の出現  2 リモートでつながる元夫婦  3 二人が語る「孤独」  4 「原点回帰」したドラマが映し出すもの  5 コロナ禍に揺れる企業内の人間模様  6 「自粛生活」でふと気づく孤独  7 日本社会の「孤独」 第7章 「夜の街」の苦境、エッセンシャルワーカーの憂鬱――『不要不急の銀河』『あなたのブツが、ここに』  1 「夜の街」の苦境  2 「不要不急」って何だ  3 「夜の街」からエッセンシャルワーカーへ  4 エッセンシャルワーカーの憂鬱  5 シングルマザーの窮状  6 コロナ禍のなかの五輪開催への批判 コラム4 東京五輪とテレビ 第8章 「ポスト・コロナ」ドラマ:人生と世界を見つめ直す――『団地のふたり』『孤独のグルメ』『正直不動産』  1 「ポスト・コロナ」ドラマ  2 他者との共感と紐帯  3 団地のゆるい社会的紐帯――『団地のふたり』  4 「下り坂」の思想  5 「おひとりさま社会」を生きる――『孤独のグルメ』  6 「住」への関心の高まり――『正直不動産』  7 「働く意味」を問い直す 終 章 災後テレビドラマのメッセージ  1 市井の人々にとっての災禍  2 “災後”を問い直すドラマ  3 進む忘却のなかで  4 『新宿野戦病院』が鳴らした警鐘 あとがき 著者プロフィール 米倉 律 (ヨネクラ リツ) (著) 1968年、愛媛県生まれ。日本大学法学部教授。専攻は映像ジャーナリズム論、放送史。著書に『「八月ジャーナリズム」と戦後日本――戦争の記憶はどう作られてきたのか』(花伝社)、共編著に『ローカルテレビの60年――地域に生きるメディアの証言集』(森話社)、『新放送論』(学文社)、共著に『想起する文化をめぐる記憶の軋轢――欧州・アジアのメディア比較と歴史的考察』(明石書店)、『1970年代文化論』(青弓社)など。 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ16mm 重さ 258g 256ページ 並製 定価 2,600 円+税 2,860 円(税込) ISBN978-4-7872-3564-0 初版年月日2025年7月30日

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