日本は戦後、急速な経済発展を遂げて豊かになった。その一方で、人々の心は貧しくなり、道徳は低下していった――。今日、多くの人がこうした言い回しを定説のごとくとらえています。とくに近年は、「道徳の低下が顕著になっている」という指摘も少なくありません。実際、それを裏付けるかのような出来事は日々起きています。
一方で、海外との比較において、日本の治安の良さや日本人のマナー・モラルの高さがメディアで取り上げられることがしばしばあります。なかでも、二〇一一年の東日本大震災に際しては、人々が冷静に秩序ある行動をとっていた様子が海外メディアで報じられ、世界中で賞賛の的となったことは記憶に新しいところです。
今日、こうした相反するような言説が並存しています。いったい、日本人のマナー・モラルは高いのでしょうか、低いのでしょうか? もし低いのなら、それは戦後にもたらされたのでしょうか? また、諸外国におけるマナー・モラルの水準は、日本をさらに下回っているのでしょうか? あるいは、今日の日本人の道徳水準は、総体的に見れば十分高い水準にあるのでしょうか?
本書では、こうした疑問を解くため、戦後日本が経済発展を遂げていくなかで、人々のマナー・モラルがどう変化していったのかを考察します。なかでも、日本人が「衣食足りて」の段階へと進んだ昭和三〇年代から四〇年代を中心に、日本社会の状況を分析します。そして、今日の日本人の道徳水準をいかに捉えるべきか、そのメンタリティーにも踏み込みながら、一つの視点を提示します。
なお、本書はご高評をいただいた『「昔はよかった」と言うけれど』の続編にあたります。前書とあわせて読むことで、近代以降の日本人のマナー・モラルについて、より深く理解することができるでしょう。(おおくら・ゆきひろ)
発行:新評論
四六判 256ページ
定価 2,000円+税
ISBN978-4-7948-1042-7
書店発売日2016年7月1日
その他のアイテム
-
- 『おてあげ 6号』「もたもた」 困ってる人文編集者の会 #リトルプレス
- ¥1,100
-
- 『ポストメタル・ガイドブック 思索を促す轟音と静寂』近藤知孝(著) 発行:パブリブ
- ¥3,080
-
- 『Living with Cats 2』にしさかきみこ #リトルプレス
- ¥1,430
-
- 『海を渡った日本書籍 ヨーロッパへ、そして幕末・明治のロンドンで』ピーター・コーニツキー(著) 発行:平凡社
- ¥1,100
-
- 『 地図で読み解く日本の山岳鉄道』川島令三(監修)岡田直(編著) 発行:カンゼン
- ¥2,090
-
- 『クィアな時間と場所で トランスジェンダーの身体とサブカルチャーの生』ジャック・ハルバスタム(著)菅野 優香(訳)羽生 有希(訳)井上 絵美子(訳) 発行:花伝社
- ¥4,180