
帝国の画家が描きとめた故郷の花文様のアルバム
1902年にプラハで、のちにハルキウとサンクトペテルブルクで再刊された、古い刺繍の文様のスケッチ40点をまとめたアルバムを複製。
文様の特徴や、故郷・ウクライナの文様を写し取る一方、ロマノフ朝の御用画家でもあったミコラ・サモーキシュの生涯を繙き、
ナショナリズムが芽生えていった時代について考える解説付き。
歴史は現在と過去の対話である、と言われることがあるように、過ぎ去った時代を解釈する視角は、今、その作業に取り組む者の問題意識によって変化します。
ただしその際、変わらずに参照される必要があるのは、過去の人々が残した記録、すなわち史料です。
サモーキシュが残したこのアルバムも史料です。