体液の分泌はいつも、思考の始まりに先行する。
大気・海洋・土壌汚染、アレルギーの増加、日常化する暴力、奪われる睡眠時間……
高速回転する世界で、それでもなお、考えるために――
歴史学が見落としてきた「体液」を根拠に、「人間」を根源から定義しなおし、
もうひとつの人間の精神のあり方を描きだす。
歴史と思想の交差点で編みなおされた、生きるための思想。
目次
はしがき
Ⅰ わずらう
体液をめぐる思考――生類の思想が編み直されるところ
慢性と急性――人文学的省察
「自己する」の不調――アレルギー時代の人文学的考察
Ⅱ あそぶ
家庭科の哲学――「人間する」を遊ぶ
墨色と泥色の記憶――かこさとしの絵の淡い濁りについて
子どもの商品化に抗する思想
いま環境について考えるとはどういうことか
Ⅲ はぐくむ
農業技術への問い――ハイデガーの概念「はぐくむhegen」について
土の思想をめぐる考察――脱農本主義的なエコロジーのために
さつまいもと帝国日本
賢治と道子をつなぐもの――「植物医師」と硫安
Ⅳ たべる
培養肉についての考察
食の闇について
人間チューブ論――食のダイナミズムを考える
エディブル・プラネット
Ⅴ まじる
「規則正しいレイプ」と地球の危機
表皮の脱領域的考察
もれる――膜が食い破られること
「たかり」の思想――食と性の分解論
あとがき
著者プロフィール
藤原 辰史 (フジハラ タツシ) (著)
1976年生まれ。京都大学人文科学研究所教授。専門は農業史、環境史。
主な著書に、『ナチス・ドイツの有機農業』(第一回ドイツ学会奨励賞)、『カブラの冬』、『稲の大東亜共栄圏』、『ナチスのキッチン』(第1回河合隼雄学芸賞)、『トラクターの世界史』、『戦争と農業』、『給食の歴史』(第10回辻静雄食文化賞)、『食べるとはどういうことか』、『分解の哲学』(第41回サントリー学芸賞)、『縁食論』、『農の原理の史的研究』、『歴史の屑拾い』、『植物考』、『食権力の現代史』などがある。
四六判 縦188mm 横127mm 288ページ 上製
価格 2,700 円+税 2,970 円(税込)
ISBN978-4-910904-03-0
初版年月日2025年9月25日
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