イマジズムの詩のような「青と緑」、姪のために書かれたファンタジー「乳母ラグトンのカーテン」、園を行き交う人たちの意識の流れを描いた「キュー植物園」、レズビアニズムを感じさせる「外から見たある女子学寮」など。
短篇は一つ一つが小さな絵のよう。
言葉によって、時間や意識や目の前に現れる事象を点描していく。
21世紀になってますます評価が高まるウルフ短篇小説の珠玉のコレクション。
――ウルフは自在に表現世界を遊んでいる。
ウルフの短篇小説が読者に伝えるものは緊密さや美や難解さだけではない。おそらくこれまでウルフになかったとされているものもここにはある。 たぶんユーモアが、そして浄福感が、そして生への力強い意志でさえもここにはあるかもしれない。(「解説 ヴァージニア・ウルフについて 」より)