
火となれと歯をみがくなれ火とならば孤独を知らんかの雪豹の
渡辺松男の歌はますます自由に 心のままに羽搏く なんて刺激的な!!
前作『牧野植物園』で第七十三回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した著者の第十一歌集。
【収録歌より】
米櫃へわれの眼玉のおちにけりここが火口でなくてよかつた
俺の眼が螢となつて飛んでゐる祭りの夜の水のゆめかな
白鷺が野辺にふりまくあの白さ尽きざる白さたつた一羽の
花とはちがふ白い狂気がうすくあるそめゐよしのと空とのあはひ
わが吐きしすべての声を溜めてゐる鏡がひらく西日のなかに