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反ユダヤ主義について その歴史と揺らぎ/マーク・マゾワー(原著)山岡由美(訳) 発行:みすず書房

4,730円

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反ユダヤ主義――ユダヤ人をめぐる激動の歴史のなかで、人々がこの言葉に込める意味もまた、大きく変化してきた。 世界のユダヤ人の大多数がヨーロッパに住んでいた頃から2度の世界大戦とホロコーストを経て、かつてこの語は(主に左派が)人種差別への普遍的な反対を表明する際に使われていた。 しかしその後のユダヤ人居住地の中心はイスラエルとアメリカに移った。両国の国際政治における存在感や武力・経済力が著しく強まった現在、イスラエルの政策への批判は「新しい反ユダヤ主義」として(今度は主に右派から)糾弾されている。犠牲者のポジションは隠すべき恥から手に入れたい強みへと変わった。〈反ユダヤ主義〉はいまや、パレスチナの凄惨な情勢に対する抗議を封殺し、大学の自治へ介入し、まっとうな議論を妨げるための政治的な思想戦争の道具にされている。 この用語は思想そのものではなく思想の代用品である。その意味の変容をめぐる混乱を解きほぐすには、歴史的文脈の経緯をたどることが必要不可欠だ。19世紀後半から今日の状況に至るまでの世界の様相と思想の変遷を、現代史の泰斗がテンポよく、かつ慎重に整理し、明日の対話への足場を固める。 目次 序章 混乱 第1部 反ユダヤ主義の時代のヨーロッパ 第1章 神と国家と永遠 第2章 ユダヤ人解放とその敵対者(1880~1914年) 第3章 高まる反ユダヤ主義(1914~33年) 第4章 世界の一大勢力としての反ユダヤ主義(1933~45年) 第5章 余波――冷戦期のヨーロッパ 第2部 思想戦の戦場で 第6章 予兆――アメリカ、イスラエル、中東(1940~60年代) 第7章 国際社会のなかの「新しい反ユダヤ主義」? 第8章 言葉の武器 第9章 対象の本質 第10章 対象を取り違える 終章 わたしが見たもの 謝辞 訳者あとがき 文献案内 原注 索引 著者プロフィール マーク・マゾワー (マーク マゾワー) (原著) 米国コロンビア大学歴史学教授。専門はギリシャを中心とするバルカン近代史、20世紀ヨーロッパ史、国際関係史。1958年に英国ロンドンで生まれ、オックスフォード大学を卒業後、ジョンズ・ホプキンズ大学で修士号、オックスフォード大学で博士号を取得。邦訳著書に『国際協調の先駆者たち――理想と現実の200年』(依田卓巳訳、NTT出版、2015)、『国連と帝国――世界秩序をめぐる攻防の20世紀』(池田年穂訳、慶應義塾大学出版会、2015)、『暗黒の大陸――ヨーロッパの20世紀』(中田瑞穂・網谷龍介訳、未來社、2015)、『バルカン――「ヨーロッパの火薬庫」の歴史』(井上廣美訳、中公新書、2017)がある。未訳の著書として、Inside Hitler’s Greece、Salonica, City of Ghosts、The Greek Revolutionなどがある。 山岡由美 (ヤマオカ ユミ) (訳) (やまおか・ゆみ) 出版社勤務を経て翻訳業に従事。訳書に、橋本明子『日本の長い戦後――敗戦の記憶・トラウマはどう語り継がれているか』(2017)、C・サラ・ソー『慰安婦問題論』(2022)、ヤン=ヴェルナー・ミュラー『民主主義のルールと精神――それはいかにして生き返るのか』(2022、以上、みすず書房)、スコット・レイノルズ・ネルソン『穀物の世界史――小麦をめぐる大国の興亡』(日本経済新聞出版、2023)、ダニ・オルバフ『ナチス逃亡者たち――世界に潜伏、暗躍したスパイ・武器商人』(朝日新聞出版、2024)、ヤーション・ホアン『中国の盛衰――試験・専制・安定性・科学技術』(日本経済新聞出版、2026)など。

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