ベンヤミンと深い交友のあったゲルショム・ショーレムは、ユダヤ人の「民族的郷土」建設計画に揺れる1920年代のパレスチナから、ヘブライ語の「現用化」の将来に対する不安をフランツ・ローゼンツヴァイク宛の手紙で告白する。「神聖な言葉」の復讐がもたらす黙示録という破局の思想を切り口に、デリダはシオニズムの脱構築を企てる。スピノザ、ハイデッガー、ヘーゲルと対話しつつ、世代を超える復讐の行方を問う、手紙から100年を経た現在を照射する予言的な異色作。訳者による詳細な解説を付した文庫オリジナル翻訳。
目次
Ⅰ 深淵と火山
Ⅱ 言葉を世俗化すること――火山、火、〈啓蒙の光〉
原註
訳註
解説 鵜飼 哲
【資料】
著者プロフィール
ジャック・デリダ (デリダ ジャック) (著)
ジャック・デリダ(Jacques Derrida):1930-2004年。仏領アルジェリア生まれ。エコール・ノルマル・シュペリウール卒業。西洋形而上学のロゴス中心主義に対する脱構築理論を唱え、文学、芸術、言語学、政治哲学、歴史学など多くの分野に多大な影響を与えた。著書に『声と現象』『グラマトロジーについて』『エクリチュールと差異』『動物を追う、ゆえに私は(動物で)ある』ほか多数。
鵜飼 哲 (ウカイ サトシ) (翻訳)
鵜飼 哲(うかい・さとし):1955年、東京都生まれ。京都大学大学院文学研究科修了後、パリ第8大学に留学し、デリダのセミネールに通う。一橋大学名誉教授。著書に『いくつもの砂漠、いくつもの夜』『ジャッキー・デリダの墓』ほか。デリダ、ジュネらの翻訳も多く手掛ける。