original
気鋭の文筆家・僕のマリが挑む、
「食」と「記憶」を繋げる珠玉のエッセイ。
思い出すことのかたわらにはいつも、食べものがあった。
大切な記憶も、ちょっとした記憶も、食むように紡いでいく。
noteの好評連載に書き下ろしを加えて待望の書籍化
全編書き下ろしの「自炊ときどき外食日記」も収録
長い間忘れていたことを突然思い出すと、狂おしい気持ちになる。
頭のなかで突風が吹いたような、満潮の海が荒れるような、
スノードームをひっくり返したような、
そんな風に全身の細胞が泡立つのを感じる。
頭で覚えていないようなことでも、
匂いや音で急に記憶の蓋がこじ開けられることもある。
忘れて、思い出して、また忘れて、そんなふうにあと何十年も
自分の内面と向き合っていくことになるのだ。
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